とまとの推しが尊い

ジャンルごった煮、推しにまつわることを書き連ねるブログ

LOOSER2022感想と考察

ネタバレなし感想

LOOSER2022、面白い。
映像作品として挑戦している部分が楽しいし、最近の情勢とも相まって味わい深いのでおすすめです。コミカルとシリアスのバランスもよい。

TEAM NACSをご存じない方にむけてあえて言い方をするならば、
「カメレオン俳優・安田顕の桁外れの演技力、魅力的すぎる散り姿」
「芝居の化け物音尾琢真の控えめながら奥深い芝居」
「ニチアサで仮面ライダーベイルを演じた俳優と大河ドラマ源頼朝を演じた俳優が己の思想に基づき刀で闘うという豪華さ」
を堪能できるんです!
普段TEAM NACSの舞台のチケットが取りにくいことを考えれば、この機会を逃すのは勿体ない。

LOOSER=日常をただ生きているだけの現代人、が幕末にタイムスリップして、当時の侍たちと関わり合うなかでどう変わっていくか。
アラフィフの俳優さんたち5人の持つ渋み、色気、間のとり方の妙。
25年間共に芝居をし続けた彼らの息の合い方に虜になること請け合いです。

ということでチケットはこちらから↓
https://liveviewing.jp/looser2022/

ネタバレあり感想

LOOSER2004の熱さが好き。ほとばしる汗と涙が好き、心の奥から揺さぶられる感覚が好き。
腹の底から絞り出される叫び声と照明と音楽に、思わず鳥肌が立つエンターテインメント性が好き。
LOOSER2022の緩さが好き。若い頃に燃えた人たちが纏う渋みのある色気が好き、目元・口元の繊細な演技が好き。
話の展開をごく自然に見せる実力の高さ、そこにたどり着くまでの努力が滲んでいるのが好き。

 

いやぁ……大人の色気って、こういうことなんだなぁ……とただ惚れ込んでしまった。
この5人、芝居がうまくなりすぎでは……???いや、舞台のお芝居と映像のお芝居は別物だから比べるのも違うかもしれないけれど……寄りになった時のまなざしとか息遣いがプロすぎて脱帽……画面から魅力が溢れて溢れて…………はぁ…………

 

私はアラサーなので(?)まっすぐ、愚直なまでに「互いの正義のために戦うことの苦しさ」「社会のために個が命を落とすことの虚しさ」を突きつけて、演者が腹の底から叫びまくるハイカロリーな2004が大大大好きで。
だからこそ、主眼が「世界・社会」から「自分の生き方」に変わって、全体としてメッセージ性に引っ張られない感じに変化したのが、こう、大人の余裕を感じました。
「歴史に名の残らない者によって歴史が守られる」という構図や「熱い侍たちに感化されて人生を生き生きと進む現代人」というところはそのままに、「何もなかった男が命を捨てて歴史を守り抜く」ことで戦の苦しさをまっすぐ示し正面から問題提起した2004とは異なり、「他人の人生を捻じ曲げることはしない、自分が満足できる生き方で生き抜く」選択をした2022。
どちらも味わい深くて好きです。噛めば噛むほど味と深みの出るスルメ作品。
(あの、私2004の拷問シーンでの龍馬→土方豹変演技が大好きすぎて、これ2022の大泉さんでも観たいんですけど、どうやったら叶いますか??石油王になるしかない??そうですね……)

 

好きなシーンが多すぎて語ることが難しいので好きなセリフだけ……。
森崎さんの「総司は、道具ではない」
安田さんの「お梅……寝たのかい? お梅よぉ……」
戸次さんの「そんなことはさせない」
大泉さんの「それより貴様……この国の未来を、不用意に語ったな」「ちっぽけな人間だなぁ」(藤堂平助はネタキャラのMVPでした)
音尾さんの「やっぱり、やめましょうよ」

いや……いや全部好きすぎた……5人の芝居が好きすぎて狂う……これからも末永く箱推しさせてください…………

 

※子猫的ワンポイント 
それにしても謎の男、芹沢さんを斬ったあとにこっそり苦しそうな表情されてるのがツボで……。未来の家族を守るためなら歴史を変えていい、かつての人間たちの生き死にを決めていいと覚悟をしたつもりでも、やっぱり生身の人間を斬って命を棄てた時の痛みは重いですね……。それにしてもこういう冷静めな黒泉さん珍しくて美味しかった……実写版東京喰種の真戸さんを擦り倒している私にとってご褒美のような役でした……


考察

TLでちょこちょこ考察されてる方がいらしたので触発されて私も考察してみる!

 

この世界では「特殊な時計を使えば時空の歪みを生み出すことができる」、「時空警察は歴史改変者に悟られないように動き、歴史の改変を阻止している」。
時空警察は歴史を変えようとする人物が現れると即座にStageを作りあげ、歴史上の人物たちを「役者」として召喚。歴史改変者を登場人物の一人として召喚し、歴史改変を時空警察の掌中で行わせ、秘密裏に修正する。

 

謎の男と佐藤、ふたりとも時空の歪みに取り込まれたのに、見えているものが違うということは、Stageはあくまでも謎の男に”自分は歴史を改変している”と認識させるためにあると考えました。
謎の男は
・佐藤の正体を聞く時に「この時代の人間でもない」という言葉を使っている(セット・黒子・役者などに言及しない)
・「幕末のこの時代に身を投じたのだ」と告白している
・役になった佐藤を佐藤と見抜けなかった
ことから、謎の男にはこのセットが本物の幕末の世界に見えているのだとわかる。
だからこそ、佐藤がはじめて現れて「マネジメント」などと言い出した時は、自分の計画を阻止しようとした未来人が追って来たと本気で思って斬ろうとしてるのかなと……(あそこの怪訝な目からの刀構え土方さん最高に怖くて好き……。いやあの目の演技なに?天才的すぎるんだよ……)
シゲはたまたま謎の男の通る鳥居とStage13の間に居たから巻き込まれただけで、時空警察と同じ立ち位置で時空を把握できている。だからこそ冒頭でなんどもセットや黒子の存在にツッコんでいるといえそう。

いやぁ、決死の覚悟で時空を超えた謎の男と、生き甲斐もなく巻き込まれただけの佐藤、対比がたまりません。


時空警察(黒子)は歴史が変わらないようにすごく気をつけていて、シゲが謎の男に斬られそうになった瞬間も時計を使ってシゲをワープさせることで山南の予期せぬ死を回避している。この時計は時空警察が作ったものなのかな?
謎の男は未来でなんとか過去を変えたい!と色々動いて、なんとか時計を入手して、未来に戻れる見込みが無いのに幕末に身を投じようとした

急いで時空警察がStageを作って、時空の歪みをStageに引き寄せた

謎の男がStageに召喚された
みたいなことだと思うのだけど、斬られてしまった謎の男はどうなってしまったんだろう……Stageの中で死んじゃった……?泣
最後まで家族構成も半生も分からないまま散っていったのが「大いなる歴史の前に一人の人間は無力」という感じがしてよかったです。

見返してみると、本作の冒頭、「木村組、撮影開始致します」というセリフとともにStage.13の文字が映っている。これは本作自体が時空警察の目線でつくられたものということで……色々分かった状態で最初から見るのめちゃ楽しい!

1週間フルに楽しみまくります!面白い作品をありがとうございます!!よい26周年目を!!!!!!推したちが平和にすこやかに過ごせますように……!!!!!

five goes on .....