とまとの推しが尊い

ジャンルごった煮、推しにまつわることを書き連ねるブログ

恋クレ感想と考察(ネタバレの嵐)

恋クレ観たことのない方は絶対に読まないでください。がっつりネタバレです。

 

白石監督が舞台挨拶の中で「恋は一方通行の押し付け」と言ってらしたのが印象に残っていて。これはまさしく女装男の恋の物語で、同時に宙也とすみれの恋の物語でもあって。これはまだ、愛じゃない。恋なんだ。だからこんなに破茶滅茶で支離滅裂で、それでいて清々しい。恋っていいですね(誰?)

 

まずBGMと主題歌がいいですよね。恋愛モノかつパニックモノのこの作品にうまくマッチしいて、疾走感を生み出していて。YouTubeでも聴けるの最高すぎますね。

 

あと何がいいって女装男の登場シーンの不気味さ。何もない道が続いていくのが不気味で。突如として現れる鳥居が異質感を放つのはもちろん、バス停の色落ち方もいい感じに怖いんですよね!!

 

あと宙也の振り切れ方が本当に両極端なのがとても見ていて気持ちよかったです。冒頭のおどおどして恋人の表情を伺う宙也と、豹変後のサディスティックで人を痛めつけるのが好きな宙也。彼女を守るというところだけは一本通っていて(といっても序盤の宙也はあまりに弱かったけれど)、アプローチが全く異なる。いやぁぁ私は女装男が降りるところと夜のカットの間がめちゃくちゃ見たいんですよねぇぇぇどうやって人格戻っていくのか??白目を向いて??それとも寝て起きたら元に戻る??教えて白石さん!!あと本当に馬鹿みたいなんですけど、妊娠発覚した時、すみれと宙也が交わる時はどっちの宙也なのかなぁ……とか考えてしまったクソオタですいません。いや〜〜最初は相手の表情伺いつつ優しく震える手で身体を撫ぜるけれど、どこかのタイミングですみれちゃんが別人格の宙也を呼び出してきて獣のように交わるのかなぁとか……とか……多重人格の人の営みめちゃくちゃ興味あるので他作品も調べてみようと思いました。何か作品(映画でも小説でも)ご存知の方こっそり教えてください。

 

ここからは個人的な考察。帰り道に色々考えてましたが、私の解釈としては女装男はすみれの分身で、実はすみれも多重人格なのでは?というのが一番個人的にすんなり来ました。

女装男、すみれに名前を一度も聞いていないのにすみれの名前を呼ぶんです。それも、女装男がすみれの分身なら合点がいくなと。

すみれは多重人格で、もともと「すみれ」が宙也と恋人関係にあったのが、女装男という別人格も宙也を好きになってしまう。そして「すみれ」に宙也との関係を切るように命じる。

しかしそこで宙也に拒絶され、殺されそうになり(=人格を消滅させられそうになり)。「ちゅーやんに殺されるなら本望」という女装男に対し、「なら殺してやんねぇ」と返す宙也。そして最終的に、女装男はスコップとともにバスから投げ出されます。あれはつまり、すみれの身体から女装男という人格が抜けた、あるいは女装男という人格が宙也との交際を諦め「すみれ」と宙也の交際を見守る覚悟をし身を引くということなのだと解しました。いやぁ、あそこの宇野さんの表情最高でしたね。切なさと諦め、覚悟、優しさ、全部つめこまれたみたいな瞳、本当に胸に来ました。

 

女装男が「すみれ」の別人格だと解釈すると、「赤信号でもレッツラゴーや」というセリフがすみれと女装男に共通したのもうなずける気がして。いやでも他にも色々解釈の余地ありまくりなので他の方の解釈も聞いてみたいなぁ。三者三様の捉え方がある映画だと思います。

 

とはいえ、まだまだ謎な部分も多くて!また東京で上映されるそうなので、もう一度足を運ぼうかなと思いました。とにかく濃かったですね。短編だからこその情報の詰め込まれ方でした。自分なりに解釈してからもう一度見たいって強く思える作品です。